BLUE BIND

BL小説ブログ。危険を感じた方はお逃げ下さい。
  [ 雨の屋根の下 3(R18) ]
2013-03-11(Mon) 05:25:00
突然の波多野の一言に、俺のほうが照れてしまう。
べったりと精液のついた右手を、
ティッシュで拭いながら赤くなるほどに。

波多野は時々、狙ったように照れることを言ってくる。
狙ってないのは判っているし、嬉しいことは嬉しいけど、
ちょっとは心構えをする時間がほしいもんだ。

「あ、うん、そっか‥ありがとう‥」
「それじゃあ一人暮らし決定なんですか?」

波多野は、俺にソレをティッシュで拭かれながら、
ゆっくりと体を起こした。
乱れまくった髪を、ささっと手で直している。
ちなみに俺は先に抜いてもらっていた。

「そうだね。ほら、うちは兄貴と2人だから、
 料理や掃除なんかは兄貴と交代でやってきたし、
 そういうのは嫌いじゃないから」
「あの、こういう選択肢はどうです?」

言いながらズボンのファスナーを直す。
そして、波多野は、座り直して俺を見た。

「ここに住むんですよ」

追加された選択肢はあまりにも予想外で、
あんぐりと口を開けてしまった。

波多野は、俺が持っていたティッシュを奪い取り、
ごみ箱へと捨てる。
ティッシュはソレを拭ったやつでまだ濡れていた。
もうちょっとだけ匂いとか楽しみたかったのに。

いや、そんなことはどうでもいいか。

ここに住むって、俺がこの波多野家に住むのか。
確かに大学は近いし、バイトにも行きやすい。
部屋も余ってるって聞いたことがある。
それに、俺はゲームばかりして遊ぶだけじゃなくて、
波多野や星ちゃんの勉強を見ることもある。
おばさんにもおじさんにも、
俺のことがよく思われていることは判っている。

だからって、それはさすがにムリだろう。

人生なんてそんな都合よくいくはずがない。

「聞いてました?」
「聞いてたよ」
「どうですか?」
「どうですかって言われても‥」

どうですかって言われても困ってしまう。
それができれば万歳三唱してしまうが、
決定権を持っているのは波多野や俺じゃない。

ふと、波多野が、外を見る。
空は曇っていて雨が降っていた。

「もうすぐ母さんが帰ってきます。
 そういう話してみませんか?
 雨だしきっといいこと起こりますって」

俺達に何かある時はいつも雨なんだよな。

それを信じて、にこりと笑った。

次話へ 前話へ

お気に召しましたら一票お願いします。
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
雨の屋根の下 | TB:× | CM : 0
雨の屋根の下 2(R18)HOME雨の屋根の下 4(R18)

COMMENT

COMMENT POST

:
:
:
:



 
 管理者にだけ表示を許可する


copyright © 2024 BLUE BIND. All Rights Reserved.
  
Item + Template by odaikomachi