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  [ 雨の屋根の下 5 ]
2013-03-15(Fri) 05:30:00
「え?え?どうしたの?大丈夫?」
「仲村さん、ケーキでお腹壊しました?」
「ごめん‥おばさんもごめんなさい‥」

あははと笑いながら、涙を拭う。
波多野とおばさんは心配そうだった。

一人暮らし、悪くないと思っていた。
何でもできるし寂しくないって思っていた。
でも、アットホームな雰囲気にほっとしてしまい、
ついでに不意打ちするようにおばさんの発言。

情けないことについ泣いてしまった。

「私、悪いこと言ったかしら。
 ごめんなさいね、仲村君」
「いえ‥おばさんのせいじゃないです‥」
「じゃあ夏樹かしら。こら、夏樹、
 仲村君を泣かせたら母さんが許さないわよ」
「ええ?それは理不尽だよ」
「おばさん、波多野、ごめんなさい。
 誰でもなくて悪いのはこの俺ですから」

ムリに笑う俺にティッシュを差し出す、波多野。
ティッシュで目と鼻を拭いていると、
波多野の真剣な目線が、おばさんに向けられた。

「母さんがさっき言ったことできるの?」
「さっき言ったこと?」
「仲村さんが、ここに住んだらいいのにって話だよ」

波多野が訊ねた瞬間、おばさんは笑った。
「ええ。2人も3人も、あんまり変わらないもの。
 アパート借りて暮らすお金があれば、
 ここだったら宿と食事を出してあげるわ。
 お父さんとそういう話をしたこともあるのよ。
 考えてもらえるとおばさん嬉しいわ、仲村君」

ほらね、とでも言いたそうに、波多野が微笑む。

そうだね、と返事するようにこっちも笑顔になった。

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