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  [ 君とは幸せになれない 2 ]
2013-03-22(Fri) 05:20:00
スタッフのみんなで、楠さんと僕の、
昇進祝をしてくれることが決定したという。
僕は酒に弱く、一口だけで目眩がする。
だから、何度かこれまでも送迎会があったが、
僕はフロアに出ていて行かなかった。
でも、今回ばかりは出席しないと、まずいだろう。

そんなことがあり、はあと気の重い溜め息をつきつつ、
早番のスタッフと一緒に、
予約を入れてくれていた居酒屋へ入っていく。
遅番のスタッフはクローズになり次第、
ここへくるという手筈になっているらしい。

楠さんと僕は、テーブルの奥に押し込まれた。
スタッフのみんなは、入ってきた順番で座っていく。
それぞれ飲みたいものを頼んでいって、
僕はオレンジジュースをお願いした。

「え?大津さん、ジュースなんですか?」
近くに座った仲村君に、驚きながら聞かれた。

「僕はアルコールが飲めないんだ。
 一口ですぐに頭痛がしてしまう体質でね」
「そうなんですか」
「仲村君は、飲める方なのかい?」
「飲めるって言っても、それなりですよ」
「いいね、羨ましい限りだ」

みんなが頼んだドリンクが運ばれてきて、
仲村君が、僕にオレンジジュースを渡してくれる。
続いて楠さんに、ハイボールを渡してあげた。
仲村君自身は、ウーロンハイを頼んだようだった。

飲み物が全員に行き渡り、見計らって楠さんが挨拶する。
みんなで乾杯をすると、とうとう飲み会が始まった。

初めは楠さんと、仕事のことで会話していた。
やがて、楠さんがトイレに立ってしまうと、
そこに別のスタッフが座って、僕なんかに話しかけた。
戻ってきた楠さんは、仕方がないと苦笑いすると、
ジョッキを手にして他のとこへ移ってしまった。

あれよあれよという間に席はシャッフルされて、
僕の隣に、ジョッキを片手に藤ヶ谷君がやってきた。
頬を赤く染め、楽しそうに笑っている。

「大津さん、たくさん飲んでます?」
「いや、僕はアルコールが飲めないんだ。
 一口ですぐに頭痛がしてしまう体質でね」

今日だけでこの台詞を、どれくらい言ったのだろう。
それを考えただけで僕はげっそりした。
次からはジュースをカシスオレンジとでも言えばいいか。
そのほうが簡単だし面倒じゃなさそうだ。

「じゃあ俺と同じですね」
「え?そうなのかい?」
「俺のこのジョッキはウーロン茶なんです」
「ジョッキに入っているからウーロンハイかと思ったよ」
「こうすれば飲んでるみたいに見えるでしょ?」

藤ヶ谷君が、アルコール用の空いたグラスに、
僕のオレンジジュースを入れる。
すると、なんとびっくり、アルコールっぽくなった。
ソフトドリンクとアルコールのグラスは、
違うものを使っているから、こうすればいいのか。

「ほら、こうすればいいんですよ」
「ありがとう、藤ヶ谷君」
「いいえ、どういたしまして」

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