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  [ 君とは幸せになれない 3 ]
2013-03-24(Sun) 05:05:00
「俺もアルコールが飲めないんですよ。
 ビール一口だけで、吐いちゃうし倒れます」
藤ヶ谷君は、ウーロンハイに見えるウーロン茶を、
ゆらゆらと揺らしながら笑った。

「それなら、お互いアルコールに気をつけよう」
「でもね、こういう雰囲気は大好きなんです。
 喋るのは好きだし楽しいし、ストレス解消になるから。
 大津さんはこういうの苦手っぽそう」

枝豆を食べながら藤ヶ谷君が言う。
的確な指摘に、あははと僕は笑った。

「そうだね。そんなに好きではないね」
「静かなところが好きそうですよね。
 図書館とか博物館とか、そういうところ」
「ああ、言われてみれば確かにそうだ。
 藤ヶ谷君は、アルコール飲めない割には、
 コンパとか合コンとか好きそうだね」

藤ヶ谷君が上目遣いで、柔らかく笑った。
「そういうのも好きだしよく行きますけど、
 静かなところも好きですよ」

熱っぽい顔や、角度や視線に、どきりとして、
それを紛らわせるようにジュースを飲む。
すると、藤ヶ谷君も、ウーロン茶に口をつけた。

その時、仲村君が慌てて僕達の元にきた。

「藤ヶ谷、それ俺のやつ!」

ごくり、と一口飲んだ藤ヶ谷君が、
スローモーションのように、僕と仲村君を見る。
ジョッキが静かにテーブルに置かれると、
藤ヶ谷君は口元を抑えてトイレに駆けていった。

テーブルを見てみると、ジョッキが並んで置いてある。
片方が藤ヶ谷君ので、片方が仲村君のだ。
ウーロン茶とウーロンハイで、色もほとんど同じだし、
使われているジョッキも同じものだった。
藤ヶ谷君は、ほんのちょっと油断してしまったらしい。

ビール一口だけで、吐いちゃうし倒れます。

藤ヶ谷君の台詞を、ふと思い出して、
僕はトイレに様子を見にいくことにした。

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