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  [ 君とは幸せになれない 6 ]
2013-03-30(Sat) 05:05:00
シャワーを浴びてからリビングのソファで眠った。
人をおんぶして運んでかなり疲れていたのか、
泥のように眠ってしまった。
こんなによく眠れたのは、かなり久し振りだった。

朝7時、そろそろ朝食でも準備しようか。
昨日が昨日だけにおかゆの用意を開始した。
吐ききって空になった胃には、消化しやすい食事がいい。

おかゆとお茶を作ってから、ニュースを見ていた。
しばらくして、ぼさぼさに乱れたくせ毛をいじりながら、
藤ヶ谷君が、このリビングへやってきた。

ベッドに置いておいた僕のスエットとシャツに、
ちゃんと気づいたらしい。
それをしっかりと着てくれていた。
ちなみに、藤ヶ谷君のシャツは乾燥中である。

「おはようございます、大津さん」
「おはよう。気分はどうだい?」
「まあまあです。昨日は本当に、すみませんでした」

藤ヶ谷君は、ぺこりと頭を下げた。
ふわりと揺れたくせ毛が、トイプードルみたいで、
何だか可愛く見える。

「何があったのか覚えているかい?」
「ウーロン茶とウーロンハイを‥きっと間違えて‥」
「そうそう。それで君が酔い潰れたから、
 店から近いここに、タクシーで運んだんだよ」

そう言うと、藤ヶ谷君が家の中を見回す。
「ここはどこですか?どこかの旅館なんですか?」
「僕の家さ。と言いつつも中古で買ったものだけど」
「え?大津さんの自宅?」
「そうさ。藤ヶ谷君も、若いうちに戸建を持つといい。
 アパートに住むのとローンを払っていくのは、
 そんなに変わらないから。
 さあ、おかゆを作ったからごはんを食べよう」

僕がキッチンへ行くと、
藤ヶ谷君が犬のように後をついてきた。
しょぼくれて耳が垂れ下がったかような、
そんな顔をした犬のようだ。
髪の色といいくせ毛の揺れといい、
その姿はやはりトイプードルに見える。

「藤ヶ谷君、どうしたんだい?」
「なにか手伝います」
「あはは。そんなの気にしなくていいよ。
 あんなことがあって本調子じゃないだろう?
 テーブルの傍に座ってていいから」
「はい‥すみません‥」

言われた通り、テーブルの傍に座ってから、
藤ヶ谷君は、ちらちらと僕のことを気にしていた。
家が厳しくて犬を飼ったことはないが、
こんなトイプードルがいたら可愛がってしまいそうだ。
僕はそんなことを考えながら、食事を用意した。

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