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  [ 君とは幸せになれない 9 ]
2013-04-05(Fri) 06:00:00
藤ヶ谷君は、シャワーを浴びて帰っていった。
帰り際、ちょっと足元がふらついており心配したが、
ゆっくりと歩いて帰っていった。

それからは、何事もなく普通だった。
楠さんが作ったシフト表はいつも通りで、
特別になにかあるでもない日常だった。

そして、3週間が経過した。

翌月のシフトを作成するのに、
みんなの休み希望を聞かないとならない。
バイトを掛け持ちしていたり、
ここでの仕事を副職にしていたり、
学業とバイトを調整していたり、
それぞれの事情を考慮しながらも、
働きやすいようなシフトを作っていくのだ。

仕事の合間に1人ずつ、
デスクワーク用の事務所に入ってもらって、
僕とマンツーマンで話をする。
そこでようやく、久々に藤ヶ谷君と対面した。

パソコンのあるデスク前に僕が座っていて、
向かいに藤ヶ谷君が座った。
デスクにはもちろん、シフト表が広げてある。

「お疲れ様です、大津さん」
「お疲れ様。来月のシフトの調整なんだけど‥」

と、フロアが手薄になるから出勤してほしい曜日と、
出勤しなくてもいい曜日を、シフトを見ながら伝える。
まだまだ大学生である藤ヶ谷君は、
出席しないといけない授業でもなければ、
シフトに融通がきくから、僕としても助かっていた。
案の定、フロアが手薄になる曜日に、
バイトを入れてもいいと言ってくれる。

シフトに書き込みながら僕は笑う。
これで、みんなのシフトの調整がなんとかなりそうだ。

「いやあ、いつも助かるよ。ありがとう」
「いえ。大津さんって明日休みですよね?」
「そうだよ。でも、シフトがこれで完成できそうだから、
 家でシフトを作ろうかと思っているんだ」
「そうですか。それじゃあ、俺フロアに戻ります」

急に感じた素っ気なさに、ふと顔を上げた。
藤ヶ谷君は明日も、ここでバイトだったはずだ。
それでも、僕なんかに用があったのだろうか。

「藤ヶ谷君、僕に用でも?」
「いえ、いいんです」

藤ヶ谷君が、僕の見ないでさっさと出て行ていく。
訳が判らないまま取り残され、ぽかんとした。

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