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  [ 君とは幸せになれない 10 ]
2013-04-08(Mon) 06:55:00
翌日は確かに仕事は休みだったが、
のんびりしつつ、家でシフトを作っていた。
淹れたコーヒーを啜りながら、表を睨む。

このコーヒー豆は楠さんが、社長へと提案した。
僕がそれを知った時、楠さんには敵わないと思った。
楠さんは何でもやれる人なのだ。
仕事も恋愛も、社長への提案も、そつなくこなす。
それに比べて僕は、そつなくこなすどころか、
店長とフロアの業務で、いつもいっぱいいっぱいだ。

だから、シフト表も家で作るしかない。
職場なんかでは作成するような時間がとれないから、
家でやらないと間に合わないのだ。

店長という役職なんて相応しくない。
こんなことやるべきではなかったんだ。
普通に生活し、普通に仕事し、
隅のほうで細々と生きていければ、それでいい。

今更そんなことを愚痴ってもしょうがない。
憧れていた楠さんに推されたんだ。
今は楠さんに泥を塗らないよう、ひたすらやるしかない。

シフト表を作るだけで、5時間。
外はすっかり暗くなっていた。

昼食を食べてから作成を始めたから、
そろそろ腹も減ってきたし、どうしようか。
ごはんを作るにしてもくたくたに疲れてしまった。
コンビニへ行って、弁当でも購入しよう。

立ち上がって体を伸ばすと、インターが鳴った。
勧誘は面倒だ、と思いつつインターのカメラを見ると、
びっくりして目を広げてしまった。
そこにいたのは藤ヶ谷君だったからだ。

インターのカメラで応対せずにドアへ直接出ると、
藤ヶ谷君が、びくっと目を大きくさせた。
僕がいきなりドアを開けるとは思わなかったのだろう。

「藤ヶ谷君、どうしたんだい?」
「お疲れ様です」
「ああ、お疲れ様。それでどうしたんだい?」
「ちょっとだけお邪魔してもいいですか?」
「構わないよ。入ってどうぞ」

軽く頭を下げ、藤ヶ谷君は家へと入った。

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