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  [ 君とは幸せになれない 13 ]
2013-04-11(Thu) 06:25:00
不安そうに藤ヶ谷君が、己のシャツを見ている。
徐々に、ソースの染みが薄くなった。
家のもので染みを抜くには、これが限界だろう。

「あとは洗濯すれば大丈夫じゃないかな。
 今からでいいなら洗濯に回してあげるけど?」
「いいんですか?宜しくお願いします」
「ああ、ちょっと待っててね」

脱衣所の洗濯機へ、シャツを放り込んだ。
洗剤と洋服用の漂白を、染みの部分に垂らして、
スタートのスイッチをオンにする。
やれやれ、これで一安心だろう。

藤ヶ谷君が、不安そうな表情のままだ。
立ったついでにお茶のおかわりを持ってきて、
空になっていた湯呑みに注いでいく。

「シャツだけど、洗ったら干しておくよ。
 乾いてからオルテンシアに持っていくから、
 今はそのシャツを着てもらえるかい」
「前回だけじゃなくて今日もすみません」
「こんなことくらい気にしなくていいから」

藤ヶ谷君は、未だシャツのボタンを閉めていない。
ここはエアコンはかけているけど、外はまだ寒いし、
ボタンくらい閉めないと体によくないだろう。

何の気なしに手の伸ばして、ボタンを閉めてあげた。
「藤ヶ谷君、シャツのボタン閉めたほうがいいよ。
 部屋は暖かいけど風邪を引いてしまうから」

その手を藤ヶ谷君に握られた。

顔を上げると、藤ヶ谷君が、僕を見つめる。

見つめる眼差しが熱かった。

時間はあまり把握できないが、しばらく見つめ合った。

やがて、藤ヶ谷君が、ぽつりと言った。
「今日は、ここを舐めないんですか?」

僕の手が、ゆっくりと胸の突起に動かされる。

藤ヶ谷君の視線は、いつの間にか逸れていた。

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