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  [ 君とは幸せになれない 27 ]
2013-05-18(Sat) 05:00:39
明らかに誘うような、キスをされた。
唇をくっつけるだけの幼いものではなく、
深く絡み、愛おしそうに絡み、
離れていく時には、ぺろりと唇を舐められた。

藤ヶ谷君の目元が、少し赤い。
一瞬にして仕事モードから、
ベッド上の藤ヶ谷君に変わった。

しかし、ここはオルテンシアであり、
僕達はこれから仕事をしなければならない。
正直、褒められるような行いではないな。

「僕達は仕事中だよ」
優しく窘めると、面白くなさそうな表情をされた。
正論を言われて表情が変わるなんて、
ポーカーフェイスが得意な藤ヶ谷君らしくない。

「仕事中じゃなければいいですか?」
藤ヶ谷君は、目を細めながら僕に訊ねてきた。
窘められたことが悔しかったのだろう、
少しばかりむきになっているような感じだ。

いや、そういう問題ではない。
けれども、僕の言い方も、あまりよくなかった。
藤ヶ谷君がそう解釈したのも、何となく判る。

こちらが黙っていると、次第に藤ヶ谷君が、
唇を尖らしながら落ち込んでいった。
逞しく咲いた花が、しわしわと萎えていくように。

しょぼくれた藤ヶ谷君が可愛くてつい、
僕からキスを返してしまった。
仕事場でキスなんてよくないと理解はしているが、
こちらも男であるが故、むらっとしたのだ。

「仕事中じゃなければいいよ。
 仕事が終わってから家にくるかい?」
「え?いいんですか?」

藤ヶ谷君は16時、こちらは18時上がりだ。
2時間くらいだったら残業してもらってもいい。
そうすれば、帰る時間が合う。

「いいよ。そっちに用事がないならね。
 ごはんでも食べにおいで」
「ごはんだけ、ですか?」

甘え声に、こつんと額を軽く叩いてやる。
「その先をここで言わすのかい?」
「あ、いえ、すみません」

藤ヶ谷君が笑顔で、嬉しそうに答える。
僕もつい嬉しそうに笑った。

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