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  [ 君とは幸せになれない 39 ]
2013-06-12(Wed) 09:20:37
彼と寝て、彼とごはんを食べた。
ごはんは前と同じで、おかゆをリクエストされ、
また同じものを作ってあげた。
無邪気な笑顔で、彼はいつものように喜んでくれた。
そして、彼はすっきりした顔をして帰っていった。

僕は、これから仕事の支度をする。
彼は前と同じ、午前に大学、午後からバイトだ。
僕はこれからしばらく忙しくなってしまうが、
彼とはオルテンシアでまた逢える。
それを心の糧にして、忙しさを乗り切ろう。

そして、本当にしばらく多忙になった。

フロアに出るのも少なくなり、
事務所でレポート作成ばかりしていた。
店舗や売上の評価に、新作の発表に、
本社へ行く機会が、前よりも増えたが、
それはそれで楠さんに逢えることもあるから、
嬉しくもあり楽しくもあり。

フロアで彼に逢っても、挨拶のみの日々だ。
まあ、元からそんなに喋るような仲ではないし、
こんなものかもしれない。

あっという間に1か月半が過ぎてしまった。
やっと取れた休みには、ベッドの上で過ごした。
と言ってもただ寝ていただけだが、
時々、シーツの香りを嗅いで、ふっと笑う僕がいる。

シーツはもちろん洗濯済ではある。
しかし、彼の残り香が、
ここに残っていそうな気がしてしまう。
そんなことを考えてバカだなとも思うのだが、
こればかりはしょうがない。

次の日、オルテンシアに出勤をした。
朝からバイトの彼に、僕から声をかける。
「藤ヶ谷君、シフトのことで話があるんだけど、
 ちょっと時間もらえるかい?」

彼は無表情で頷く。
そして、事務所へくるなり笑顔になった。
照れ臭そうに頬を赤らめている。

「大津さんと喋るのって久々ですね」
「ああ、そうだね」
「それで、シフトはどこを変更したらいいですか?
 講義とか詰まってるので週末しか空いてませんけど」
「それなら週末にしよう。
 僕とごはんに行ってくれるかい?」

そう言うと、彼はぽかんとしたまま頷いた。

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