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  [ 君とは幸せになれない 40 ]
2013-06-14(Fri) 04:45:00
週末、僕達は合わせて19時に上がった。
藤ヶ谷君が、嬉しそうな顔をしながら歩いている。

「ごはんに誘ってもらえるなんて思わなかったです」
「誘ってほしいと言ったのは、そっちじゃないか」
「だって、シフトで話があるなんて言うから、
 マジでシフトの話かなって思うじゃないですか」
「ああでも言わないと、あそこでは不自然だろう?」
「言われてみれば確かに」

ごはんを食べるところは決めていた。
以前、楠さんと食べに行った、鍋の店だ。
楠さんのお気に入りで、仕事の相談や、悩みがある時に、
いつもここで食べたり飲んだりした。
楠さん以外と店にきたのは、これが初となる。

入店して受付をして部屋まで案内される。
和服の店員のあとをついていって個室に到着した。

部屋に入ろうとして藤ヶ谷君が止まった。
店内の中心に、小さめだが本格的な庭園が作られていて、
惹かれたようにそれを見つめている。

「庭って和むよね」
「そうですね」
「僕はああいうの好きなんだ」
「俺もです、好きです」

僕達は一瞬、ふと目が合った。

庭のことを話していたのに。

まるで、告白をした雰囲気になった。

心の奥へ、ピンク色の風が吹いたかのように、
ぶわっと体が熱くなる。

すると、和服の店員に、どうしたのか声をかけられて、
僕達は同時に、はっと我に返った。
「いえ、何でもありません」

そう答えて、僕が前に進む。
そして、藤ヶ谷君が、隣について歩く。

ふと、藤ヶ谷君の右手が、僕のシャツを摘んだ。
満更でもなくいい気分になってしまった。

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