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  [ 君とは幸せになれない 41 ]
2013-06-15(Sat) 06:50:05
個室に通されて麦茶を飲みながら、
藤ヶ谷君に食べたいものを訊ねてみる。
すると、何でもいいと言われてた。
メニューすら手に取ろうともしない。

「メニュー見ないのかい?」
「いいです。大津さん選んで下さい」
「じゃあ、嫌いな食べ物ある?」
「ないです。何でも食えます」

そう言われ、僕が適当に店員へ注文を言う。
何でも食べると言いつつ、甘いおかゆが好きだから、
辛いものを避けることにした。
実は僕が、辛いものが好きではない。

ドリンクは、ノンアルコールビールにした。
意外だったらしく藤ヶ谷君が、少し驚く。

「ノンアルコールビールですか?」
「ああ。普通のアルコールは苦手なんだけど、
 これだけは飲めるんだよね。
 藤ヶ谷君も、少しでいいから飲んでみない?」
「はい。そうします」

僕達は、揃ってアルコールに弱い。
だったら、同じアルコールを飲めば、
同じくらい酔えるのかと思ったのだ。
前にノンアルコールビールを飲んだことがあり、
ほどよく酔えることは判っていた。

ノンアルコールは、アルコールがないのではなく、
基準上、表示しなくていい法律になっている。
全くのゼロという訳ではないのだ。
それを知ったのは、つい最近だった。

鍋と共に、ノンアルコールビールが運ばれてきた。
僕達は乾杯し、コップに注いだビールを飲む。
強張っていた藤ヶ谷君が、ほっとした顔になった。

「酔えるのに気持ち悪くならない‥」
「だろう?ノンアルコールでちょうどいいよね」
「まさか俺にもビールが飲めるなんて‥」
「これでほんのり酔えるだろう?」

藤ヶ谷君が、眩しいほど笑った。
頬も少しずつ赤く染まり、酔っているのが判る。
ぐつぐつと鍋も煮られてきて、
僕達はそれを食べながらビールを楽しんだ。

まるで、デートみたいだった。
そう思ったら、何だか恥ずかしくなり、
アルコールが進んでしまった。

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