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  [ 君とは幸せになれない 42(R18) ]
2013-06-17(Mon) 05:55:00
鍋はすっかり空になった。
ビールも念の為に1本のみ飲み明かす。
それでも、ノンアルコールで酔うことができて、
僕達はかなりご機嫌だった。

会計を済まして僕達へ家へむかう。
喋らないで歩くのも悪くはない。
なんて思っていると、僕のシャツがまた掴まれた。
藤ヶ谷君が、頬を綻ばせながら僕に笑う。

シャツを掴まれるのは悪くはない。
藤ヶ谷君に、必要とされているような気持になる。
僕はそんな彼に、ふっと笑って返した。

家に着き、靴を脱ぐ。
寝室へ直行し、僕はベッドに座った。

「食べすぎたせいかまだ苦しいよ」
「大津さん、珍しくたくさん食べてましたね」
「あそこに行くとたくさん食べてしまうんだ。
 美味しいし雰囲気いいから」
「あの、マジであそこ奢りでいいんですか?」
「もちろん。僕がそう言ったんだから」

藤ヶ谷君は、嬉しそうに笑った。
そして、僕の隣に座り、僕の腹を見る。

「中年の腹をあまり見ないでくれ」
「大津さんはまだ中年じゃないでしょう」
「いいや、もう中年だよ」

苦笑いすると藤ヶ谷君が、僕のシャツのボタンを外した。
ついでのように、静かにズボンのファスナーも下ろす。

そこから取り出されたのは、くたびれているものだった。
くたびれているものを硬くするかのように、
藤ヶ谷君は、ゆっくりと口に含んで熱を与えだした。

「中年である公明にちょっと質問いい?」
「は、あ‥何だい‥?」
「恋人っていた時期あったの?」

僕のそんなことに興味があるとは思えなかったが、
ここでの会話の一環なのだろう。
隠すことでもないと思い、僕は素直に言う。

「恋人がいた時期なんて一度もないよ。
 遊んでくれる人はいたけど今はいないし、
 僕はずっと独りで過ごしている。
 恋だの愛だの、煩わしいとしか思っていないのさ」
「ふうん。俺とちょっと似てるかも。
 俺も、これまで付き合ったことないから」

彼はそう言って、ソレを美味しそうに頬張った。

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