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  [ 君とは幸せになれない 52 ]
2013-07-12(Fri) 08:45:00
「どこか苦しいのかい?」
「苦しくない‥」
「じゃあ、どうして泣いているの?」
「判んない‥」

彼に判らなければ僕も判らない。
とにかく、ティッシュで涙を拭いてあげた。
しかし、どうしてか悲しみを抑えられず、
拭いても拭いても、涙がたくさん溢れてくる。

すると、僕からティッシュを奪って、
彼は泣きながらまた背を向けた。
さっきから震えていたのは泣いていたからか。
彼が泣くようなことを僕は何もしていない。

さて、どうしたものか。
何をどうしたらいいか考えていると、
泣きながら彼から話しかけてきた。

「公明‥」
「何だい?」
「さっきの取り消しにして‥」
「うん?」
「だから、また‥セックスしよ‥」

さっきのとは、好きだと言ったことか。
それを取り消して、またセックスしてくれと、
そういうことを言っているのだろうと思う。
確かセックス前にこんな話をしたっけ。

僕はずっと独りで過ごしている。

恋だの愛だの、煩わしいとしか思っていないのさ。

それなにの、彼は僕へ、好きだと言った。
それを後悔して、こんなに泣いているらしい。

彼の泣く姿に、ずきんと胸が痛んだ。
こんなに泣いてしまうほど、僕のことが好きなのだ。
僕はそれが嬉しいと思っていた。

だから、彼の体を、ぎゅっと後ろから抱いた。

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