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  [ 君とは幸せになれない 53 ]
2013-07-17(Wed) 08:50:00
「僕も好きだ、真康」

耳元で、愛の言葉を囁く。
今までの僕にはない、大胆な行動だ。

素肌が密着し、彼の心臓の音が、
僕にまで伝わってくる。
その逆も然りで、僕の心臓の音も、
彼にもきっと届いているに違いない。
僕達の心音が静寂な部屋で、重なり合う。

自分の気持ちに、ウソはない。

彼のことが好きだ。

好きだから好きだと言った。

「ウソだ‥」
しかし、彼は僕からの愛を疑った。

あれだけ、愛だの恋だの語って、
それが煩わしいとまで言ったんだ。
疑われて当たり前だ。

抱き締める腕の力を、少しだけ強める。
僕からの思いが、言葉だけではなく態度からも、
彼にしっかりと届くように。

「ウソじゃないよ」
「ウソだ‥」
「真康のほうから告白されなくても、
 僕がきっと好きだと言っていた」
「ウソだよ‥」
「君のことが好きなんだ。
 君はうざくないし煩わしくない。
 君とだったら困難も怖くない。
 真康、こっちを向いてくれないかい?」

僕の腕の中で、くるりと彼がむきを変える。
声を堪えながら涙を流している、彼の顔が、
堪らなく愛おしかった。
頬に、唇に、目にキスを落としていく。

「君のことが好きだ」
「本当に?」
「ウソなんかつかないよ」
「だって‥どうして‥」

好きだと言われて、嬉しそうな顔にならない。
どうやら、混乱している様子だ。

「君のことばかり考えている。
 君のことばかり見ている。
 君にずっと傍にいてほしいと思っている。
 それでは、ダメかい?」
「ダメ‥じゃない‥」

彼は、さっきよりも更に泣いてしまった。
泣きながら僕に、ぎゅっとしがみついてきた。

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