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  [ 青い空を見上げて2nd 29 ]
2010-07-10(Sat) 01:45:29
笹崎侑津弥


どれくらい時間がすぎただろう。
ベッドから顔を上げると、世界全体が、
セピア色に染まっていた。
これは夢なのか、はたまた現実なのか。
ショックのあまり一時的に視力がおかしくなったのか。

手は動く、足も動く、とりあえず立つこともできる。
おかしいのは視力だけらしい。
このまま放っておけば治るだろうか。

俺は部屋を出た。

ジョーに謝るために。

やっぱり、俺が悪い。
ちゃんと謝りたい。
それで、今まで通りの関係に戻りたいと思った。

ジョーの部屋から、誰か喘いでいる声が聞こえてくる。
不自然に、ちょっとだけ扉が開いていた。
何がどうなっているのかと思い、そっと中を覗いてみると、
ベッドにジョーとミレトスがいた。

正確には、ジョーがミレトスに乗っかっていて、
ことの最中だった。

ウソ、だ。

電気ショックを食らったような気分だった。

よろけた体を支えるのに、思わずドアノブを掴むと、
扉がゆっくりを開いてしまった。
でも、ミレトスとジョーは、見られても構わないって顔で、
行為をやめることなく継続させていた。

ジョーが口を動かして何か言っている。
だけど、プールの中みたいに耳がぼやけて聞こえなかった。
気持ちよさそうな表情で、ミレトスが頷いている。
ジョーが俺に言ったことに、同意している様子だった。

セピア色でも見ていられない。
俺は、棒のようになった足で、必死になって部屋にいった。

混乱した気持ちを、なんとか落ち着かせようと、
机にあったカッターを手にした。
いつもみたいに切っちゃえば、痛みで落ち着ける。
だけど、手が震えてカッターを床に落とした。
拾おうとしたら足がもつれて、ベッドに倒れ込んだ。

全身が、がくがくと震えている。
そんな体を慰めるように、ぎゅっと強く自分を抱いた。

叫びたいのに声が出てこない。
涙も、枯れたように一滴も出てこない。

ベッドに顔を押しつけて、素直になれなかったことを後悔した。
    
そうしていると、扉のノック音がした。

「‥ウツミ、いるんだろ?」    
さっきは聞き取れなかった、ジョーの声がした。

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