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  [ 君とは幸せになれない 59 ]
2013-08-10(Sat) 05:25:00
「私がオルテンシアに行ったのって、
 どうしてか判るかしら?」
「いえ‥」
「息子がね、バイトしているのよ」

ぴく、と僕の眉が動く。
八重さんの苗字は、間違いなく村瀬だ。
昔は俺の親も、周りにいた人も、
村瀬さんとか八重さんとか、
そう呼んでいたのを覚えている。

しかし、オルテンシアには、
村瀬という人物はいない。
ということは離婚歴でもあるのか。

「でも‥村瀬という人物は‥」
「オルテンシアにはいないわよね。
 村瀬っていうのは旧姓なのよ。
 公ちゃんとたくさん話すようになったのは、
 公ちゃんが高校生の頃からだけど、
 教室には結婚前からお世話になっていたの」
「そうですか‥」

ということは今の苗字は何なんだろう。
それを訊ねる間もなく、八重さん自ら回答した。
「結婚後は、藤ヶ谷よ」

びくりと僕の体が震えた。

昨日やっと恋人になった、僕の彼の母。

そういうことになる。

まさか、僕達の関係を察知し、
わざわざ僕のことを訊ねにきたのか。

いや、それはさすがにないだろう。
今日は彼は大学で、しかも一人暮らしだ。
こんなことを母に言うはずもない。
という確信はあるが、僕の心臓の鼓動が増す。

「ああ‥藤ヶ谷君の‥」
「ええ。真康のことで、公ちゃんに大事な話があるの」
「何ですか‥」

コーヒーを飲んでカップをソーサーに置く。
今になってブレンドだと判った。
そのタイミングで、八重さんはこう告白をした。

「真康は、公ちゃんの子なの」

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