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  [ 君とは幸せになれない 60 ]
2013-08-13(Tue) 11:35:21
僕は今、家にいる。

真っ暗い家に、1人でいる。

リビングの明かりすら点けないで、
カーペットに座り込んでいる。

どうやって、家まで帰ったのか。

それすら覚えていない。

はっきりと覚えているのは、八重さんの台詞。

「真康は、公ちゃんの子なの」

公ちゃんの子、僕の子。
それはどういうことなのだろう。

「真康の父親、つまり私の夫はね、
 検査をして無精子症だと判明したの」

子供ができにくい体質だったらしい。
だからって、どうしてこうなったのか。

「私はどうしても子供を産みたかったの。
 公ちゃんと夫は、同じ血液型なの。
 公ちゃんが私のこと好きだって知っていたの。
 だから‥つい‥ごめんなさい‥」

それで、僕のことを襲ったというのか。
たった1回だけで子供ができたのか。

「いきなりこんな話をしてごめんなさい。
 夫はもちろん知らないまま亡くなったわ。
 でも、公ちゃんには知ってほしかったの。
 疑うのなら検査をしても構わない。
 間違いなく真康は、公ちゃんと私との子だから」

八重さんは、泣きそうな顔をしていた。
僕はこの時は、どんな顔だったろう。

その後、八重さんは僕の分まで会計をして、
カフェを後にした。
僕は、いつまでカフェにいて、いつカフェを後にして、
いつ家に帰ったのか、さっぱり判らなかった。

頭の中は真っ黒で、出口のない迷路を、
ふらふらと漂っているような感じがしていた。

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