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  [ 君とは幸せになれない 75 ]
2013-11-18(Mon) 05:50:00
1週間休み、仕事へと復帰した。

「店長!もう大丈夫っすか!」
厨房の林君が、たたたっと駆けつけてきた。
まだスープの仕込中なのだろう、
手にはしっかりお玉が握られている。

「大丈夫だよ、心配かけたね」
「いやあ、本当にすごく心配しました。
 でもよかった、店長がちゃんと元気になって」
「今日から、また宜しく頼むよ」
「こちらこそ、宜しくお願いします」

林君の背後に、坂村さんもいた。
その隣にも隣にも、他のバイトの子もいた。
みんなして準備の途中できてくれた。
中には、ちょっぴり泣きそうな子までいる。

頼りないこんな僕でも頼りにされている、
そんな思いがして嬉しくなった。
だが、店のオープンは待ってくれない。
集まったみんなを担当場所へ戻しながらも、
僕もフロアの手伝いに回った。

オープン少し前に楠さんがきた。
僕がいるかどうか様子を見にきたのだろう。
挨拶すると、楠さんは笑った。

「もう大丈夫そうですね」
「お陰様で。ありがとうございました」
「今日からまた頑張りましょう」

楠さんは5分とおらず去った。
本当に、SVとなると忙しいものだ。

今日は、彼はバイトが休みだ。
本当の偶然で、僕もそれを狙った訳ではない。
だが、少しばかりほっとする僕がいる。

もしも、ここに彼がいたとしたら。

いや、もしもなんてものはない。

いても、いなくても、僕と彼は、もう終わった。

オルテンシアの店長とバイトになるだけだ。

そう、恋人になる以前のような関係に。

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