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  [ 全てを任せてキスをする 3 ]
2014-02-06(Thu) 06:00:00
あれから1週間。
シフトは、バイト仲間がとても協力してくれた。
特に、仲村君がシフトを頑張った。

仲村君と彼は仲良く、何らかの連絡は取っている。
あまり詳しくは聞かないが、僕もそれとなく知っていた。
そこから彼の事情が広まって、
みんながシフトに協力したのだろうと推測する。

今日は、早めに仕事を終わらせた。
デスクワークもほどほどに、家に帰る。
なぜだろうか、帰る足が軽い。

数日前、僕は彼と、別れるために話をした。
僕達のこんな関係はおかしく、
続けてはいけないと思ったからだ。
世間体や常識や背徳心、それらも邪魔をしていた。

しかし、彼からのストレートな思いに、
押し殺していた僕の思いが、少しずつ溶けていき、
最後にはこちらが根負けしてしまった。
いいとか悪いとかは抜きにして、
僕だってやはり彼といたかったのだ。

玄関前に、彼が居る。
僕を見つけると頬が緩んだ。

「おかえり」
「ただいま。待ったかい?」
「ううん。さっききたばっかり」
「そうかい」

家のマスターキーを渡してあるのに、
彼はここで僕のことを待っていたようだ。
こういう部分嫌いではない。

ふと、彼の頬を触る。
案の定、ひんやりと冷たかった。

「どうして家の中にいなかったの?」
「さあ、どうしてだろ。俺にも判んない」
肩を竦めながら笑う彼。

判らない訳ないとは思うが、
彼はきっと訊ねても言わないだろう。
それに、笑った顔からでも思いは伝わる。
それだけで充分でもある。

彼につられて笑いながら、家の鍵を開け、
外よりは温かい家へ、僕と彼は入った。

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