2016-05-06(Fri) 13:36:50
しっかりと我に帰ったのは、ほんの数秒後だった。
満がソレを抜いていて、 俺の体をゆっくりと横に寝かせてくれていた。 「すごいね、舞斗」 「何‥が‥?」 「たくさん潮吹いたじゃないか」 「ああ‥あれがそうなんだ‥」 俺はぼーっとしたまま答えた。 潮を吹いたとか吹かないとか、あまり興味ない。 記憶にあるのは気持ちよかったことだけ。 「気持ちよかった?」 「ん、あんまり覚えてない」 「そう。ならまた今度挑戦しよう」 「い‥いいよ、もうっ」 慌てて断ると、満はにこりと笑った。 その笑顔が少し真顔になる。 「ところで、さっきの台詞は本当のこと?」 「さっき?」 「あいつと会ったって言ってた」 「ああ、うん。菅生さんと偶然にね。 ちょっと喋ってすぐに別れたけど」 そう言うと、こつんと頭を叩かれた。 「だからって、セックス中に言うのはダメだ」 肩を竦めながら俺は謝った。 「ごめんなさい」 完全の俺の過失だ。 謝る以外の方法が無い。 「許さない」 「どうしたら許してくれる?」 訊ねると満は、つんと唇を尖らせた。 そこへ、ちゅっとキスをする。 「これで許して」 中指で唇をなぞると満面の笑みになった。 その日はぐっすり寝て、翌日、 俺達はのんびりと帰途についたのだった。 次話へ 前話へ お気に召しましたら一票お願いします。 |