BLUE BIND
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これは皆様もご存知のはず。
実は私、献血大好きなのです。
いつも400取ってもらってます。
体力的・時間的に余裕のある方々、
ぜひご協力をお願い致します。
日本赤十字社
寄付や献血を、行ったり訴えることが、
キレイ事に見えても構いません。
必要としている人がいるのは確かです。
実質的な行動はなくとも、
こういうのがあるということを、
知ってもらえるだけでも嬉しいです。
お読み頂きありがとうございました。
[ 青い空を見上げて2nd 36 ]
2010-07-13(Tue) 16:20:16
笹崎侑津弥
やってきたのは、居酒屋。
がらがらと引き戸を開けると、案の定、
エプロンをした吉村さんが出迎えてくれた。
「‥こんばんは」
「お、笹崎か。一人で店くるなんて珍しいじゃん」
いつもジョーと一緒だったから、確かに珍しい。
「‥今日はジョーと一緒じゃなくて友達ときたんです」
「友達?誰?」
俺の後にいたクレウスが前に出て、笑顔で右手を差し出す。
「初めましてデス。クレウス・ローバーンいいマス」
「うお、まさか留学生だとは。びっくりした。
ハロー、じゃなかった。グッドイブニング、だっけ?」
吉村さんは苦笑いしながら挨拶した。
俺と同じ、どうやらあまり英語が得意じゃないタイプらしい。
「グッドイブニング、デス」
クレウスはウインクしながら、吉村さんと握手した。
ジョーと座るいつもの席にむかいながら、
アリゾナの、ジョーの自宅の隣人と説明した。
「ああ、言われてみればジョーに聞いたことがあったな。
おかしな双子がいるってさ」
「おかしなは酷いデス。ジョーのがおかしいデス」
「そうだよな。あいつのがおかしいよな。
エキセントリック、だっけ?」
爆笑するクレウスに満足そうだった吉村さん。
エキセントリック、訳すと何だっけ。
帰宅してからも覚えていたら辞書をひいてみよう。
今ここで判るのは、2人の様子を見る限り、
決してジョーを褒めてはいない、ということだけだ。
クレウスが日本酒をリクエストすると、
吉村さんがいくつか冷酒をチョイスしてくれて、
テーブルに運んでくれた。
小さいコップが3つ並んでいて、
辛口、中辛、甘口、の順になって日本酒が入っている。
クレウスと飲み比べていくと、甘口がなかなか口当たりよく、
するっとしてて飲みやすいと思った。
「クレウス、どう?」
「美味しいデス。これと同じの飲みたいデス」
クレウスがオーダーすると、甘口のそれを枡酒にして、
吉村さんが零さないように運んできてくれた。
冷酒にはこれが最高だから、とつまみも一緒だった。
するめやほっけ等の日本食が並べられる。
クレウスは感激のあまり吉村さんにキスをした。
もちろん頬だけど、びっくりした吉村さんは、
照れ笑いしながらのれんの奥へ引っ込んだ。
どういう基準でキスするんだ、と思いながら眺めていた俺。
そして、クレウスと酒を飲みながら、
アリゾナにいる時のジョーの話をたくさん聞いた。
出会った当初のジョーは、かなり無愛想だったみたいだ。
挨拶もしないでいつも一人でいたらしい。
誰にでもケンカ腰で、ぴりぴりしていたみたいだけど、
クレウスとミレトスが懲りずに構っていると、
だんだんジョーが打ち解けてきたということだった。
アリゾナにきた当初のジョーは、
どうやらかなり人間不信だったみたいだ。
『誰も信じられない時が俺にもあったんだ』
俺に言ってくれたことを思い出した。
それを言われた時は、
ジョーが俺だけの理解者なんだと思っていて、
言葉の意味は、気にしてなかったし気にならなかった。
それも酷いとは思うけど、そういう余裕が皆無だったんだ。
クレウスという、第三者の証言で、
あの台詞の真意が判明して、
本当のこと言っていたジョーを改めて尊敬した。
いつの間にか、日本酒3杯目。
クレウスと俺はかなり酔っていた。
「ボク、日本酒、もういらないデス」
「‥俺も」
クーラーが効いているはずなのに熱く、
体がふわふわ浮いている気もする。
「俺コーラ飲むけど、クレウスどうする?」
「同じの飲むデス」
吉村さんが、コーラをジョッキで持ってきてくれる。
大好きな炭酸も、ジョッキだと量があってきつい。
残せばいいのに俺達はジョッキを空にした。
「クレウス、もう出ようか」
「ハイ」
俺達はふらふらした足取りで、レジへと向かった。
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