2017-12-15(Fri) 13:07:27
俺は、慌ててロイから離れた。
本当にキスをしていた場面ではないけど、 少なくとも誤解を招いてしまう。 ロイはそれを気にも留めず、 両手を広げながら3人に寄っていった。 「ボス、オーナー、ヒカル、こんにちは」 監督、オーナーとハグを交わしていくロイ。 これがロイ流なのだろう。 それにしても、監督ってボスって呼称なのか。 ラストが光さんという時になって、 光さんは歩き出してしまった。 残念そうな表情で、ロイが頭を掻いた。 一瞬、光さんがこちらを見た。 きりっと目を吊り上げながら。 アクシデントだが光さんを怒らせてしまった。 あとでちゃんと詫びないといけない。 面倒くさい騒動になり、がくりと項垂れた。 午後のミーティングは合同式で、 αチームもβチームも揃っている。 席はチーム分けされており、 光さんと俺は、遠くに離れて座っていた。 メインモニターに年間スケジュールが表示してある。 シーズン中のメインの動きや、 レースやオフについて監督が説明しているが、 どうにも頭に入ってこない。 光さんのことがモニターよりも気になる。 さっきから光さんを見ているけど、 光さんはモニターのスケジュールを眺めており、 全く俺とは目が合わない。 いつもはミーティング中でも少しくらいなら、 俺を気にしてくれて目が合うのに。 ミーティングが終わってから謝ろう。 誤解させるような場面だったこと、 そのせいで怒らせてしまったことを、 ちゃんと謝って判ってもらおう。 はあ、と溜め息が出る。 すると、ロイが俺の肩に腕を回した。 「セイ、具合悪いの?」 「あ、ううん。大丈夫だよ」 「スケジュール管理頼むからね、チーフ」 小さい声のロイに、静かに頷くと、 ここで偶然にも、光さんと目が合った。 光さんの顔が、ぐっと一瞬にして強張る。 そう、俺はロイに肩を組まれて、 ぴったりと密着していたのだ。 次話へ 前話へ お気に召しましたら一票お願いします。 |