2018-12-31(Mon) 09:24:39
本日、レース場入りをした。
もちろん、光さんとは別である。 光さんはαチーム、俺はβチーム。 各チームと共に、ピットに向かって歩く。 ピットは隣接しているが交流はない。 いや、αチームと交流する余裕がないのだ。 突然のチーム体制となって、 ミーティングは繰り返し行ってきたが、 レース場にきてセッティングが始まると、 色んな問題も出てきて、その対処で多忙になる。 それは両チーム共にだった。 「こっちにレンチ持ってこい!」 「タイヤどこに置きますか?」 「そこじゃなくてここを押さえるんだ!」 「すみません!間違えました!」 こんな慌ただしい声が、両ピットから聞こえる。 こういう声が冷静に聞こえるのは、 やはり去年のレース経験があるからだろう。 きっと、光さんも同じはずだ。 そう思うだけで、少しだけ穏やかになれる。 近くにいるけど遠い。 それでも、光さんも同じだろうと思うだけで、 俺はこんなにも穏やかでいられる。 光さんもそうだといいと願うばかりだ。 セッティングがようやく終わった頃だった。 「セイ、レース場を一緒に回らない?」 レース場を走ってきたロイが俺に声をかけた。 スポーツドリンクの入ったペットボトルを持ち、 ぐびぐびと飲んでいる。 休憩を入れようと思っていたのだ。 ロイと歩くには、いいタイミングだろう。 みんなに休むように伝えてると、 ロイとレース場を歩くことにした。 次話へ 前話へ |