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  [ 青い空を見上げて2nd 38 ]
2010-07-14(Wed) 10:20:43
阿久津城


ウツミは俺を見るなり手を伸ばしてきた。
すると、がくんと体を崩した。
慌てて支えると、ウツミの全身の力が完全に抜けた。
「ウツミ大丈夫か?おい!」
べしべしと頬を叩いてやると、ウツミは微かに頷いた。
とりあえず大丈夫みたいだ。

「クレウス、ウツミに何したんだ?」
「イザカヤというお店で日本酒を飲んだデス。
 そして、ウツミはリリースしたデス。
 なので、あそこに行って休もうとしたデス」
あそこと指差したのは、シティホテルだった。

もしかして、モーテルと勘違いしてるのか。
ここはアメリカじゃないっての。

「ウツミは連れて帰るから、2人はここから帰れ」
ウツミの腕を肩に乗せて、そう言った。
ここまで酔って吐いたなら、さすがに放っておけない。

クレウスとミレトスは、お互いをちらっと見て、
すぐに俺を見てイヤイヤと首を振った。

「2人のことは何となく判っていた。
 いい機会だから、帰りながらよく話をするんだ。いいな?」
きっと目を吊り上げると、しょんぼりした2人。
と、思い立ったようにクレウスがミレトスの手を握り、
そのまま歩いて去っていった。

「ウツミ帰るぞ。もうちょい踏ん張れるな?」
「‥うん」

よれよれと立ち上がるウツミ。
全体重が、ずっしりと俺にのしかかった。
「くっ‥!」

ウツミの体を支えてゆっくり歩き出すと、
この夜中の桜通りに、見慣れた顔を発見した。

「あれ、阿久津。ん?ウツミ?どうかしたのか?」
汚れた手袋を手にした、仁志だ。

「そっちこそ、こんな時間にどうした?」
「あはは。サッカー用の手袋を部室に忘れちゃってさ。
 あんまり替え持ってないから、毎日洗うのが日課なんだ」
「‥ん?マキ?」
仁志の声に反応し、ウツミが顔を上げた。

おいおい、いつの間に名前で呼ぶようになったんだ。
ちょっとジェラシー感じちゃうだろう。

「仁志ってマキって名前だっけ?」
「アマキヨの真ん中もじって、昔からマキって呼ばれてんだ。
 ウツミって呼べって言われたから、じゃあ俺はマキってな。
 それよりも、どうしたんだ?ケガでもしたのか?」

ナイスタイミングだ。
仁志がここにいることに感謝した。

「マキ、ちょっと時間あるか?」
「ん?おう、あるよ」
「ウツミ酔い潰れたんだ。悪いけど俺の家に運ぶの、
 ちょっと手伝ってもらえない?
 あ、俺のことジョーって呼んでいいからさ」

俺は、にやりと笑ってみせた。

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