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  [ 青い空を見上げて2nd 40 ]
2010-07-16(Fri) 04:00:36
阿久津城


土曜昼にはウツミの二日酔いがよくなったけど、
今日はどこにも出掛けたりせず安静にすごしていた。
晩ごはんも済んで、ウツミはソファでマンガを、
俺はキッチンで後片付けをしていたその時だった。
家のチャイムが鳴った。

インターフォンのカメラには、
やはりと言うべきかクレウスとミレトスが映ってる。

実は俺は、2人がきそうな予感があった。
驚きもせずドアを開けてやると、思った通り、
ここに泊まりたいと言ってきた。
だから、拒まずに家に入れてやった。

ウツミは少し驚いていた。
クレウスを見るなり、なぜか俺の後に隠れたけど、
俺とミレトスがいるのを確かめるように見て、
まあいいか、という表情になった。
気になるであろう一泊の理由は聞いてこなかった。

「ここが、ジョーの家なんだネ」
クレウスとミレトスへ、コーヒーを出してやる。
ミレトスは興味津々そうに、あちこち見回していた。

「アリゾナの家と同じだって。リビングにキッチン、
 ゲストルーム、バスにトイレもある」
嫌味を込めて言ったが効果なし。

「ナイスジョーク」
ウツミの向かいに座るクレウスに、笑ってやりすごされた俺。
クレウスの隣のミレトスも笑っている。
ジョークじゃなくてオフェンシブなんだけどな。

「2人共、何しに来たんだ?」
これも、もちろん嫌味だった。

「ジョーのゲームやりにきまシタ。
 ボードとリモコンを使うゲームある言ってたデス」
有名なあの体感ゲームか。
2人にメールで自慢したような記憶がある。

「ボクとミレトス、次いつこっちにくるか判りまセン。
 それなら思い出ほしいデス」
切なげな顔でそう訴える、クレウス。
ミレトスは、うんうんと横で頷いていた。

クレウスとミレトスの気持ちも理解できなくはないけど、
本目的がゲームではないことは推測済みだ。

「‥ゲームやろうよ。なあ、ジョー?」
色んなことを考えてる俺をそっちのけに、
ウツミは俺に了解の同意を求めてきた。

ウツミは、ある意味人がいい。
きっと、2人の表情で、切ないものを感じたんだろう。
裏があるのは判ってるけど、ウツミがいいならいいか。

「ああ、はいはい。ゲームするか」
ということになり、俺とウツミは配線の接続を始める。

負けたらワインを飲む、という危険なルールで、
まずは4人対戦ゲームを、そして2人対戦ゲームをした。
ワインを飲みたいクレウスとミレトスは負けまくり、
ようやく二日酔いから復活したウツミは、
いつもは弱いゲームに、目をかなり燃やしている。

「しぶといな、ウツミ」
「‥ジョーこそさっさと負けるといいのに」

真っ先に負けた、クレウスとミレトスは、
酔っているせいか俺達の勝負を観戦して笑っている。

そこに、クレウスが割り込んできた。
「ジョーの部屋見たいデス。どこデスカ?」
「2階の右にいった所の手前だ。
 見るだけで部屋のもの勝手に動かすなよな」
「オーケー」

このままいけば、ウツミに勝てそうだった。
だけど、こちらのテクニック以上のものをウツミが発揮し、
ゲームに負けたのは俺だった。

リモコンを投げ出して頭を抱える。
「このゲームでウツミに負けたことなかったのに」
「‥えへへ。あれ?クレウス達どこいった?」
リビングとダイニングを見回しているウツミ。

「部屋見たいって言うから場所教えてやった」
「‥そっか。じゃあ、勝負ついたって報告しにいこう」
「そうだなあ、うーん」
ウツミに言われて、腕を組んで唸る俺。

部屋であの2人が、何をしているのか判っているんだ。

「‥呼びに行こう、ほら」
ウツミが、俺の腕をぐいっと引っ張った。

俺からウツミに言ったほうがいいのは判ってるんだけど、
信じるかどうか判らないし、
見てもらったほうが早いかもしれない。

「そうだな」
と、ウツミに促されて立った。

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