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  [ その手はひとつじゃない 6(R18) ]
2011-03-16(Wed) 05:45:15
さすがの満さんもスライドを止めた。
俺は焦りながらも唾を飲み、喉を潤し、
冷静を務めて郁央に声をかける。
「どうした、郁央?」
「満さんて嫌いな物あるかな?
 さっき聞いておくの忘れちゃってさ」

満さんを見ると、黙ったまま頷かれた。
こちらから答えますから喋らなくていいですよ、
とでも言うように、俺の唇へと指を当てる。

「ありませんよ。何でも食べます」
「あ、はい。ありがとうございます」

郁央は返事し、キッチンへ戻っていった。
俺達は遠ざかる足音を耳にして、ほっと溜め息をつく。

俺のはちょっと萎えかけてしまった。
それなのに満さんはさすがだ。
萎えるどころか膨らんでいるのが伝わっていた。
先端で、奥を突いて俺を楽しむ。

「舞斗君、続きをしても構いませんか?」
「はい、満さんお願いしま…あうっ、くふうっ」

涎のついたマクラをまた噛んだ。
引いていた熱が、再び全身を襲う。
数度の運動で、俺はすぐに達しかけた。

イッたら、それで終わりになる。

イキたくない。

もっとずっと満さんと繋がっていたい。

それなのに、射精を促すように速度が増して、
身を捩りながら俺は訴えた。
「みつ、る、さ、も‥イキそ‥っ」
「私もそろそろ出そうです」

言うと満さんは、腰を重たく突き刺した。
堪えられず扱いてしまい、それで俺が先に達する。
少し遅れて外で満さんも熱を吐いた。

耳元で満さんの吐息が聞こえる。
それを聞きながら、はあっと俺も息を吐いて、
ぺたりと横になって寝そべった。

満さんの手が、机にあるティッシュを取り、
腰についた液と、俺の手についた液を拭ってくれた。
己のソレと俺のソレを拭ったあとに、
手早く乱れた下衣を正した。
それからキスをされて、同時にやっと一息つく。

「さっきは驚きました」
弟がドアをノックした時のことだ。

「そうですね」
「ちょっとしたスリルでした」
「俺は、めちゃくちゃびびりました」
「そのわりには冷静に返事していましたよ」
「そりゃあ、だって‥」

だって、満さんとのセックスを知られたくない。
と考えていたらまた満さんにキスされた。
キスのキーワードである、だってと言っていた。
言わないように気をつけていても、つい口にする。

「それにしても、どうしてくれるんですか」
「何がですか?」
「ここでこんなことしたから、ベッドで横になる度に、
 今の満さんとのことを思い出してしまいます」

拗ねたように言ったら笑われた。
どうして笑われたのか判らないけど、
腹が立ってしまって唇を尖らす。

「そんなにおかしいですか?」
「いえ。私もまさにそれと同じだったもので」
まさにそれ、という単語の意味が理解できない。
きょとんとすると、とても丁寧に説明された。

満さんもベッドで横になっていると、
俺とのセックスがふと脳裏に浮かんでくるらしい。
そのまま一人で処理することも、あるとかないとか。

聞いていて恥ずかしくなり、満さんの言葉を遮った。
「もういいです、判りましたから」

俺は恥ずかしくなって顔を逸らした。
たぶん、俺の顔は真っ赤だ。
頬を温かい手で撫でられ、俺はそっと満さんを見た。

ふと目が合えば、俺達はすぐに笑顔になる。

それが俺と満さんだ。

俺達が選んだ幸せな未来だ。

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