BLUE BIND
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Author:水色
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青い空を見上げて2nd (48)
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青い空を見上げて3rd (70)
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私にも何かやれることはないか、
と思ってリンクを繋ぎました。
小児ガンや無毛症、事故等で、
髪を失った方へ髪を寄付している
NPO団体のホムペです。
水色も伸ばして寄付する予定です。
ジャパンヘアドネーション
これは皆様もご存知のはず。
実は私、献血大好きなのです。
いつも400取ってもらってます。
体力的・時間的に余裕のある方々、
ぜひご協力をお願い致します。
日本赤十字社
寄付や献血を、行ったり訴えることが、
キレイ事に見えても構いません。
必要としている人がいるのは確かです。
実質的な行動はなくとも、
こういうのがあるということを、
知ってもらえるだけでも嬉しいです。
お読み頂きありがとうございました。
[ 決めたゴールを走れ 50 ]
2012-04-09(Mon) 06:00:00
トランスポーターにあるトイレで、
ばったりと光さんに会った。
俺はさっきまでピット内にいて、
光さんはここで監督と話をしていた。
「お疲れ、聖」
「お疲れ様です。
ブレーキの最終調整をしますので1時間後、
タイムアタックお願いできますか?」
「ああ、了解」
光さんがにやにやしながら答えた。
失礼だけどその笑顔が、怪しく見える。
構えながら光さんを見ていると、ふっと笑われた。
「何だよ?」
「こっちの台詞ですよ。
俺をにやにやしながら見てどうしたんですか?」
「聖がチーフらしくなったなって思ってた」
「そうですか?」
「ここにきたばかりの頃は頼りなさそうだったぞ。
でかいから余計にのほほんとしてる印象だったしな。
でも、今はいい顔つきしてる」
彼氏を褒めるような恋人の顔だった。
でかいって台詞は余計だけど、
こんなことを言われて嬉しくないはずがない。
照れたのを隠そうと思ったけど、きっとばれている。
顔がこんなに赤くなっては隠しようがない。
「照れてんのか聖?」
「ええ、まあ」
「あはは。でかいけど可愛いとこあるじゃん」
「でかいは余計ですから」
光さんが背伸びをして迫ったきた。
傷をぺろりと舐めてくる。
まるで、そうすることが当たり前のように。
その唇が動いて、唇にそっと重なった。
「ん‥っ」
重なった熱に、思わず呻く。
瞬間、トイレのドアが、がちゃりと開いた。
びっくりして、光さんから離れる。
「チーフ、後藤野さん、お疲れ様です」
ふらふらの瀧がトイレに入ってきた。
徹夜が続いているから限界が近いんだろう。
目の下の隈が、それを物語っている。
瀧は小用を足し、手と顔を洗い、
再びふらふらしながらトイレを後にした。
「危なかったな」
光さんの声に、俺は我に返る。
俺はここで何をしていた。
いつかこういうとこを見つかるかもしれない。
常にそういう思いはあった。
だけど、光さんが大丈夫だって言うから、
根拠はないのに信頼してしまっていた。
そのせいで、危うくキスを見られそうになった。
恋人でもあるまいし内緒でキスするなんて、
バカバカしいにもほどがある。
明後日はもう予選なんだ。
浮ついていたら勝てるレースにも勝てないんだ。
俺は拳を握り、光さんに言った。
「もうやめましょう、こんなこと。
恋人じゃないんだし意味ないでしょう」
光さんにこうして意見をするのは初めてかもしれない。
怖かったけど言うなら今しかなかった。
怒りでまたヘルメット投げつけられるかもな、
なんて思っていると、光さんは笑った。
「そうだな、そろそろやめるか」
笑ったまま出ようとする光さん。
ここから顔や目元が見えない。
光さんがわざと見せないようにしている。
消えそうな背中に声をかけた。
「ブレーキテストやりますからね」
「ああ、さっき聞いた」
そして、光さんはそのまま消えてしまった。
文字通り、サーキットからいなくなったのだ。
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